脂肪を減らしても中性脂肪値が高い理由

血糖値が高い人が血糖値を下げようとして、ご飯の量を極端に減らすというのはありがちなことですが、これは間違いであるということは、これまでに何度か紹介してきました。血糖値と並んで気にする方が多い中性脂肪値についても同じようなことが言えます。「脂肪が多く含まれている食品を食べないようにしているのに、なかなか下がらない」ということを口にする人にはよく出会います。よく出会う、というより、私たちにしたら当たり前のことを不思議がっている人が多く、実は誰でもが同じ身体の仕組みになっています。
中性脂肪は脂肪酸3個をグリセロリドという成分1個が結びつけている構造をしています。この構造から中性脂肪はトリグリセリドとも呼ばれています。トリ(tri)はラテン語で3を意味します。
肉などに含まれている脂肪の多くは中性脂肪です。脂肪を減らしても、なかなか中性脂肪値が下がらないというのはよくあることで、何を減らせばよいのかというと、それは糖質です。
糖質が血液中で過剰になると肝臓で脂肪が合成されます。中性脂肪が増えすぎたときには肉や調理に使う油を減らすのではなくて、ご飯などの糖質を減らしたほうが効果は高まるのです。
糖質にはブドウ糖が含まれています。血液中のブドウ糖が多くなると膵臓からホルモンのインスリンが多く分泌されるのですが、インスリンには肝臓での脂肪の合成を進める働きがあります。糖質を多く摂ると、脂肪酸の材料になるブドウ糖が多くなり、インスリンが肝臓での脂肪合成を進めるので、どうしても血液中の中性脂肪が増えると、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪も増えていくことになるのです。
おなかから太りやすいタイプの人は、ブドウ糖から中性脂肪が合成されやすい人が多くなっています。中性脂肪は食べすぎでも運動不足でも増えて、内臓脂肪に蓄積されていきます。その反面、食事量を全体に減らして、有酸素運動をすれば優先的に減っていくという特徴があります。