臭わないニンニクで本当に元気は出るのか

ニンニクは元気が出る食品というのは当たり前のこと、がんの予防に効果がある食品というアメリカのデータもあまりに有名な話、という前提で作られたNHKの人気番組を見ていた他局のディレクターから、「これまで聞いていた話と違うのだけれど」とのメールが入りました。これまでの話、というのは日本メディカルダイエット支援機構がメディアや研究者などに発信している情報のことで、その一部は最新情報の中でも伝えてきています。ニンニクを食べて元気が出るのはアリシンの効果で、ニンニクの細胞の中に含まれているイオン化合物のアリインと細胞の外側にある酵素のアリナーゼが反応するとアリシンとなります。この仕組みはNHKの番組の中でも紹介されていて、アリナーゼという名称は使っていなかったのですが、ニンニクを切ったり擦ったりするとアリナーゼとアリインが反応して臭いのもとのアリシンになると説明していました。
ニンニクをそのまま加熱するとアリナーゼが壊れて、アリインのままで臭わなくなるという説明をして、アリインには味をよくする(こくが出る、まろやかになる)、臭み消しになるということで料理を紹介していました。これは間違いがないのですが、臭いがないのにゲストがアリインだけの料理を食べて「元気が出る」とコメントしていたことに、MCは何も反応していませんでした。まるでアリインでも元気が出るような印象を与えていました。
アリシンはビタミンB₁と結合するとアリチアミンになります。ビタミンB₁はチアミン(yhiamin)とも呼ばれるので、アリシンとチアミンでアリチアミンです。ビタミンB₁は吸収率が50%ほどと低くなっていますが、アリチアミンになると吸収率が倍ほどになり、吸収されてからアリシンとビタミンB₁に分解されます。ビタミンB₁は糖質のエネルギー代謝を高める成分なので、ビタミンB₁が多くなるほどエネルギー代謝が高まって元気が出るようになるのです。
この仕組みに変わりはなく、テレビ番組の伝え方が不十分であったために、同業者が疑問を抱いて問い合わせをしてきたということです。番組の中でニンニクを食べてアリシンのために臭いがきつくなった場合には、牛乳を飲むかリンゴを食べるとよいという情報は、使える話であったので、あえて紹介しておきます。