“茹で蛙”にならないようにウォーキング

経営学の話でよく出てくる言葉に“茹で蛙”があります。これは環境変化に対応できないことを示しているもので、カエルを熱湯の中に入れると熱さに驚いて飛び出すのに、常温の水の中に入れて徐々に温めていくと温度変化に慣れてしまい、命の危機となる温度になっても気づくことなく、ついには死んでしまうという話です。いかにも事実のように語られているのですが、今では“理論”だとされています。
その理論が本当なのかと実験をした研究者がいます。実験した温度は48℃で、これは高温で有名な草津温泉の時間湯の温度です。42〜45℃は高温浴となり、これは自律神経の交感神経の働きが盛んになり、血圧が高まり、心拍数も高まって興奮状態になる温度です。これ以上の48℃までが超高温となり、これを超えると高温好きの人でも生命の危機を感じて飛び出してしまいます。人間とカエルでは違いがあるでしょうが、徐々に温めていくと45℃を超えると飛び出してしまいます。カエルが死ぬまでお湯に入っているということは、事実としてはないことです。
しかし、このことが教訓として経済界で伝え続けられているのは、危機的な状況になっているのに、面倒なことはせずに流れに身を任せているうちに取り返しがつかないことになりかねない、ということを言い続けなければならないような時代が続いているからです。誰もが今のままで過ごせればよいと考えがちで、無理をしてまで危機管理をしないでよいのでは、とも考えがちです。これは健康づくりにおいても同じようなことで、体調に不調を感じていても、特に入院するほどの病気になっていない段階では、健康維持のために運動をしろと指導されても、なかなか着手できないものです。
健康によいことがわかっていてもスポーツを始めたり、フィットネスジムに通ったりはしにくいものですが、歩くことなら頑張らなくても始められるという人は多いはずです。ウォーキングを始めると健康への関心が高まり、身体の変化にも気づきやすくなります。歩く機会を増やすことは“茹で蛙”にならないためのよい方法だということを伝えさせてもらっています。