血糖値と中性脂肪値を安定させる歩き方

血糖値が高い人が血糖値を安定させるのに効果がある歩き方として、日本メディカルダイエット支援機構では短時間のウォーキングを1日に何回か繰り返すことをすすめています。健康のためのウォーキングというと、一般には長く歩くほど健康効果が高くて、少なくとも30分間は歩くように言われます。その理屈ですが、歩き始めてから10〜15分は脂肪の燃焼が少なくて、その時間を過ぎると脂肪が多く燃焼するようになるからです。「健康効果=脂肪燃焼」という考え方があるから、長く歩けばよいということが言われるようになっているわけです。
健康のために燃焼させたほうがよいのは何も脂肪だけに限りません。糖尿病が増え続けている時代には、血糖値を上昇させるブドウ糖の燃焼が求められています。ブドウ糖は燃焼しやすくて、運動を始めたときにはブドウ糖が先に多く燃焼します。このブドウ糖が優先的に燃えることは、ずっと続くことではなくて、その優先時間が10〜15分間なのです。
脂肪が効果的に燃焼するために、脂肪分解酵素が盛んに働くことが必要です。脂肪分解酵素は体内にあるものの、活性化するためには筋肉が温まって、酵素が温められることが必要で、そうなるために10〜15分はかかるということです。ということがわかると、長く歩けばいいというものではなくて、血糖値を下げるための運動をしたいと望む人には脂肪燃焼がメインの状態に切り替わる前の10〜15分のウォーキングがすすめられるわけです。
中性脂肪値が高い人には、脂肪燃焼が効果的に進むように30分の継続したウォーキングがすすめられるわけですが、そんなことをしなくても10分間のウォーキングを3回やったほうが効果的に脂肪燃焼して、中性脂肪値が安定してくるということが確認されています。その理由として考えられているのはブドウ糖の脂肪合成と、運動後のリパーゼの働きです。
血糖値が高い状態にあると余分となったブドウ糖が肝臓で脂肪酸に合成されます。合成された脂肪酸は中性脂肪に合成され、これが脂肪細胞の中に蓄積されていきます。血糖値が高くなると膵臓からインスリンが多く分泌されますが、インスリンには脂肪酸合成を進める働きと、血液中の中性脂肪を脂肪細胞の中に蓄積させる働きがあります。10分間のウォーキングはブドウ糖を効果的に燃焼させることから、インスリンの分泌が低下して脂肪合成が低下するということです。
10分間のウォーキングをしたときには、まだ脂肪の燃焼は盛んにはなっていないものの、脂肪の燃焼量は増えています。平常時はブドウ糖が約60%、脂肪酸が約40%の割合で使われているのですが、運動を始めたときには早くエネルギーを作らなければならないので、燃焼しやすいブドウ糖が約80%、脂肪酸が約20%の割合で使われるように変化します。脂肪酸の割合が半分といっても、運動をしているときには全体のエネルギー消費が増えているので、実際には脂肪燃焼は高まっているのです。そして、10〜15分が経過して脂肪分解酵素のリパーゼの働きが盛んになり、ブドウ糖が約35%、脂肪酸が約65%の割合となります。
リパーゼの働きは運動をやめてからも、徐々に低下しつつも脂肪分解は続いています。10分間のウォーキングを3回行うことによって脂肪分解と脂肪燃焼の時間が長くなり、中性脂肪値が安定していくことになるのです。