褐色脂肪細胞の活性化こそヒトケミカルの出番

前回の褐色脂肪酸の活性化については、各方面から意見や感想が寄せられました。褐色脂肪細胞は量が多いほど体脂肪の燃焼が進むものの、褐色脂肪細胞は増やせないので、活性化させるものとして香辛料やカテキン、DHAを摂るのがよいというテレビ番組に対しての感想を述べたものです。それに対して、活性化させるものを摂っているのに褐色脂肪細胞が充分に働いていない人は、どうすればよいのかという質問を受けていましたが、「それこそヒトケミカルの出番じゃないか」と意見を寄せてくれる方が数多くいました。
ヒトケミカルは細胞のミトコンドリアのエネルギー産生を促進する成分で、その中でも天然型のα‐リポ酸であるR‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10を三大ヒトケミカルと呼んでいます。ミトコンドリアの中で発生したエネルギーのうち50%ほどは体熱を高めるために使われています。すべての細胞でエネルギーが作り出されて、それが熱になっているのですが、50%というのは基礎代謝が70%ほどの割合を占めていて、基礎代謝の70%ほどが体熱となっているので、70%×70%で約50%として計算されています。
熱に多く変換される細胞と、それほどでもない細胞とがあり、前者のほうは筋肉が主にはあげられています。それと並んで熱への変換が高いのが褐色脂肪細胞です。となると、褐色脂肪細胞でもミトコンドリアが多くのエネルギーを作り出しているため、それを促進する三大ヒトケミカルが重要で、多く摂取するほど多くのエネルギーが作り出されることになります。もちろん、三大ヒトケミカルが体内で多く合成されている20代、中でも20〜24歳くらいは外から摂取しても効きにくくなっているのですが、体内での合成が減り、蓄積量も減ってくる25歳以降には効果があることになります。
代謝の低下によって蓄積される脂肪量が増え始める40代以降は、三大ヒトケミカルが大きく減ってくることになり、褐色脂肪細胞の働きの低下は、三大ヒトケミカルの減少曲線と、ほぼ合致しています。代謝を低下させないためには、三大ヒトケミカルを摂ることが大切になるわけです。褐色脂肪細胞の働きの低下による体熱の減少だけが問題ではなくて、すべての細胞でエネルギー産生が行われていて、そして加齢によってエネルギー産生が低下していきます。
どんなものを取り上げたとしても、細胞の働きの話になったら三大ヒトケミカルは重要になるものの、エネルギー代謝に関わる話では欠かすことはできないということです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。