褐色脂肪細胞は鎖骨にあるのか

脂肪を燃焼させる働きがある褐色脂肪細胞についてのテレビ番組が放送されている最中に、他局のプロデューサーから問い合わせがありました。「褐色脂肪は鎖骨にあるのですか」という質問でした。褐色脂肪細胞が正しいのですが、番組で褐色脂肪と表現していました。褐色脂肪は褐色脂肪細胞の中に蓄積された脂肪なので、褐色脂肪細胞を使って進めることにします。
褐色脂肪細胞は肩甲骨の周りと、肩甲骨と肩甲骨の間、首の周辺、脊髄の周辺、脇の下に蓄積されています。鎖骨の周りにも蓄積されているのですが、テレビ番組では鎖骨をサーモグラフィカメラで測定して、温度が高いことを示して、褐色脂肪細胞の活性度を測定していました。測定する場所が鎖骨であって、褐色脂肪細胞が多いところではないのに、そんな取り上げ方をされたために鎖骨にあって、鎖骨を冷やせば褐色脂肪細胞が活性化すると勘違いさせることになってしまいました。
番組では褐色脂肪細胞は増やせないけれども、温冷刺激によって第三の脂肪細胞であるベージュ脂肪細胞を増やすことができると紹介していました。白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の中間的なベージュ色をした脂肪細胞で、白色脂肪細胞から変化します。温冷の差の刺激を与えることでベージュ脂肪細胞が増えるということを新たな発見として紹介していたものの、その存在が知られるようになったのは1年以上前のことです。
そのときの発表は、亜鉛を輸送するタンパク質が白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変化させるということでしたが、そのタンパク質を活性化させる医薬品の開発が進められているということで、番組向けの情報とはなっていなかったのです。
今回のテレビ番組となったのは、褐色脂肪細胞を刺激するトリップチャネルが明らかになってきたことからで、香辛料と青魚のDHAがよいと紹介されていました。さらにカテキンにも効果があるので、緑茶を飲むことでもよいとのことでした。
これを受けて、プロデューサーから「自分は全部やっているのに背中が温まりにくいのだけれど、どうしたらよいのか」という話がありました。確かに、健康を気づかう人なら、すでにやっていることで、そんな人は、どうすればよいのかというのは、当然のように出てくる疑問です。
これ以上の量は摂れないだろうということで次に考えられるのは成分が多く含まれたものを摂ることです。ということで、番組の中でもトクホ(特定保健用食品)のお茶を飲めばいいのか、という質問が出ましたが、公共放送らしくスルーされました。
有効成分が多くなるほど味が強くなりすぎて摂りにくくなります。そこで包接技術としてγ‐シクロデキストリンが使われています。これについては別の機会に紹介させてもらいます。