認知症とアルツハイマー病が死因になっている

日本人が、どんな病気で死亡しているのかの統計は人口動態調査として発表されています。平成28年の調査結果では、男女平均では悪性新生物(がん)、心疾患(心臓疾患)、肺炎、脳血管疾患、老衰の順になっています。以前は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患が死因のトップ3でしたが、高齢化が進む中にあって肺炎が3位になり、さらに老衰が5位にあがってきました。男性の結果も同じ順位になっているので、これまでの結果を見ると女性の順位も同じであろうとみられていたのですが、女性は悪性新生物、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎の順となっています。肺炎が上位にあるのは高齢化と先に書きましたが、老衰で亡くなる女性が3位になったということは、女性は長生きだということを示す結果となっています。
もう一つ女性の高齢化を示すデータがあります。それは認知機能に関する結果で、9位が血管性等の認知症、10位がアルツハイマー病となっています。ともに認知機能に関わる疾患であることから、これを合わせたところ、なんと6位になります。認知機能の低下を防ぐことは身体の健康維持と同時に重要な健康づくりの対象となっていますが、そのために亡くなっている女性が急に増えたということは驚きの結果です。死因の9位が血管性等の認知症、10位がアルツハイマー病となったのは平成26年調査結果からで、もう3年も続いています。
患者調査(平成25年調査)によると、認知機能の疾患の患者は入院が約47万人、外来が45万人で合わせて92万人となっています。これは病院に行っている人の統計で、認知症の患者は462万人(平成25年)と推計されています。この数に比べて、血管性等の認知症とアルツハイマー病で亡くなっている人は1万6000人ほどなので、まだまだ少ない感じがするものの、高齢化が急激に進んでいることを考えると、「まだまだ」と言ってはいられない状況です。
認知機能は運動によって低下を抑えられることから、私たちは高齢者になる前の人から特に有効とされる有酸素運動の普及を行っていますが、有酸素運動は他の疾患にも有効であることから、まだまだ普及が足りないと強く認識しているところです。
そうは言っても、まだまだ少ないので問題はないのではないかという意見を言う人には、認知機能の疾患で亡くなる人は、イギリスでは女性は1位、アメリカでは3位というデータを示すようにしています。