認知症の2025年問題

認知症患者は2015年に厚生労働省が発表した2012年時点の人数は約462万人で、65歳以上の高齢者の7人に1人(15%)と推計されています。軽度認知障害は認知症の予備群とされるもので、軽度認知障害の人は約400万人とされています。認知症と予備群は高齢者の4人に1人となっています。認知症と軽度認知障害の患者は増える一方で、厚生労働省によると団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には認知症患者は700万人に達して、65歳以上の高齢者の5人に1人(20%)になるとみられています。
2025年は国民の平均年齢が50歳に達して、若年性認知症の増加も懸念されています。高齢者だけで20%もが認知症という時代に、65歳未満の人の若年性認知症が増えたら、これまでの社会システムが通じないことにもなりかねません。それを考えに入れると認知症予防の対策は50歳以下の人も対象にしなければならなくなります。50歳代で若年性認知症となった人はアルツハイマー病が多く、老年性認知症より進行が早いことが指摘されています。
認知機能を維持するために効果があることとして有酸素運動と、脳細胞に唯一のエネルギー源となるブドウ糖を取り込むことが重要とされています。それなのに50歳代の人は運動をする機会が特に少なく、運動不足で太った人がやせようとして糖質制限を実施する人も増えています。糖質を減らしたらブドウ糖の摂取量が少なくなります。ブドウ糖が脳細胞に取り込まれた後には細胞内のミトコンドリアでエネルギー化されるわけですが、このエネルギー化を進めるのが有酸素運動です。ミトコンドリアではブドウ糖を材料にして、酸素を使ってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出したあとには二酸化炭素と水(代謝水)が作られます。
一つの脳細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われません。このエネルギーが脳細胞を働かせるので、適度なブドウ糖摂取と有酸素運動は50歳代だけでなく、全年齢の認知機能対策には欠かせないということです。