認知症を予防するための座学講習

認知症の予防を目的としたウォーキング実践するときには、その前に座学講習をして、認知症とウォーキングの関係性を知ってもらい、効果的に歩いて認知症予防も効果的に進めたいという思いでいます。しかし、「認知症のためのウォーキング教室」というテーマで募集して、初日は座学講習だけということにすると苦情が出ることがあります。それでも私たちは、しっかりと座学講習で学んで、どうして歩かないといけないのか、なぜ早歩きをするのかといったことを理解してから認知症のリスクを減らすことにチャレンジしてほしいという考え方をしています。
認知症予防には、もちろん認知症の予備群でもない状態のときから取り組んでもらいたいのですが、健康だと意識している人に「認知症予防のために歩いて」と話しても、なかなか実践しないどころか、その話をする場に来てくれないこともあります。そこで初めに話をするのは、軽度認知障害のことです。軽度認知障害は認知症の予備群とされるものですが、予備群になったからといって必ず認知症になるというものではありません。そんな話をすると安心をするかもしれませんが、「軽度認知障害の人の50%ほどは5年以内に認知症になっている」という実態を話すと、安心してはいられないことがわかってもらえます。
軽度認知障害と診察されたときに、そのための医薬品が使われることはあまりありません。認知症の医薬品は認知症の状態を改善させるものではなくて、症状の悪化を数年間遅らせるものです。認知症の医薬品でも、このような状態であることを伝えると、軽度認知障害には医薬品がなくて、適度な運動、バランスの取れた栄養、充分な休養が指導されます。これは健康づくりの基本中の基本ですが、これを実施することによって30%ほどは軽度認知障害ではない正常な状態に戻ることができます。残りの20%ほどは軽度認知障害のまま推移するのですが、これでも認知症になって本人も家族も大きな負担がかかることを考えると、運動・栄養・休養といった生活改善の必要性がわかってもらえます。そして、効果的な有酸素運動としてのウォーキングの重要性もわかってもらうことができます。