走るほうが膝にかかる負荷が少ないのか

歩くことと走ることを比較するテレビ番組を見たテレビ番組のディレクターから、「歩くよりも走るほうが膝にかかる負荷が少ないので膝間接を痛めにくいというのは本当ですか」という質問メールが来ました。メールには「痛めにくい」とありました。膝の関節、中でも軟骨のダメージは元には戻りにくい状態になるので、これは痛めるではなく“傷める”が正しいと思うのですが、今回のテーマとは異なる話になるので、これはスルーしました。
その番組を、私たちのメンバーの一人が録画していたので、それを見せてもらいました。歩いた場合と走った場合では、膝にかかる負荷は走ったほうが強いのは当然のことです。それにも関わらず、紹介されていたデータは歩いたほうが強い負荷がかかっているというものでした。これまでの常識と異なるので、これは別の番組にも使えるとの思いから、問い合わせをしてきたとのことです。
このデータには、実はマジックがあります。膝への負荷は「強さ×時間」で示されています。走るほうが負荷は強いので、同じ時間なら走るほうが間違いなく負荷が強いことになります。ところが、この番組では「一定の距離を移動する」ということを比較対象にしていました。歩くよりも走るほうが時間は短くなります。膝を使う時間が短ければ、負荷がかかったとしても計算上の負荷は少なくなるという結果は当然のことです。
運動としては、走るのも歩くのも移動が目的ではありません。それなのに移動距離を同じにして計算して、積算される負荷が少ないというのは研究として疑問があり、それを報道することにも疑問があります。走ることを健康づくりに役立てようという人にはよいデータであっても、歩くことを健康づくりの基本に据えて、歩き方によって走ることに負けないほどの健康効果が得られることを普及している日本メディカルダイエット支援機構には、よいデータとは言いにくいところがあります。私たちがすすめている歩き方は、普通歩行と速歩を交互に繰り返すインターバルウォーキングです。