超高齢社会を支える女性の高齢化が問題だ

超高齢社会の支え手といえば、本来なら男女ともに同じでなければならないはずです。しかし、いまだに中高年の女性が介護などの主流となっているのは事実で、女性ばかりに頼ってはいられないという考え方は75歳以上の後期高齢者の急増の実態を見れば、当然のことです。男女ともに超高齢社会の支え手にならなければならないといっても、現実は、そうなっていないことは充分に承知しています。
今でも中高年の女性に頼る部分が大きくなっているのに、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」を見ると、2020年には女性の過半数が50歳以上になることが示されています。来年の話ですが、介護離職(家族の介護をするための離職)は女性では50歳から急増している実態があります。
2020年から高齢者を直接的に支える50歳以上の女性が過半数を超えるということは、それだけ女性の負担が高まるということであり、支え手である女性の健康度を高め、体力と気力を高いレベルで保つことが重要になってきます。
また、支えられる側も健康であることが大切です。健康というと、生活習慣病の検査数値に一つも該当しないことのように思われがちですが、WHO(国際保健機関)が示した病気の定義を見ると「恒常性が崩れてしまって元に戻らなくなっているか戻りづらくなっている状態で、自立できなくなった状態」とされています。この定義は我が国の厚生労働省も採用しています。
自立できなくなった状態が病気であるなら、自立できる段階は病気ではなく、健康な状態であると考えることができます。年齢を重ねるにつれて恒常性が崩れてくることから血圧や血糖値などが正常値を超えるようになりがちですが、たとえ正常値を超えていて高血圧症や糖尿病と診断されていても、その先にある動脈硬化や脳血管疾患、心疾患が発症していなければ、もちろん自立して生活することができるわけですし、検査数値を安定させることによって健康な状態に戻ることができる状態であることを示しています。
支える側であるときに健康を維持して、そのまま年齢を重ねても健康な状態を続けることができれば、介護対象の支えられる側になったときには本人も楽であり、支える側の負担を減らすことができるようになるはずです。足腰の自由が効きにくくなって、もしも不幸にして寝たきり状態になったとしても、それに高血圧や糖尿病、脂質異常症が重なっていなければ介護される側も介護する側も負担が少なくなることは当然のことです。