足の組み方が歩き方に影響する

椅子に座って脚を組むと楽だからといって、片側の脚の上に反対側の脚を乗せることをしている人がいます。この姿勢で楽になるのは、床に足をつけていると緊張する大腿部の負担が減って、緊張から解放されるからです。大腿部の筋肉が弱っている人ほど脚を組むようになりがちです。脚と足の文字の使い分けですが、足首から先が足で、足首と骨盤の間が脚となります。日本語では使い分けがされずに混同されることが多いようですが、英語では脚はleg、足はfootで、言葉を聞いただけでも区別がつきます。
脚を組むのは緊張を弱める方法だといっても、左右交互に組む側を変える人よりも、同じ側の脚だけを上に乗せる人が多くなっています。これは上にしているほうが楽だからで、反対側の脚を上にすると組みにくくなります。こういう状態になっている人は、脚を組む習慣によって骨盤が傾いていることが指摘されています。骨盤の左右の高さが違っていると、上がっている側の脚を上にして組むのは楽にできるのに対して、下がっている側の足を上にして組もうとすると骨盤の傾きに抵抗することになることから、組みにくくなるか、状態によっては組めないようになります。
これくらい骨盤の傾きがあると、普通にまっすぐに歩くのもきつくなります。まっすぐに引かれた線を前にして、目を閉じて線の上を歩くようにすると、本人はまっすぐに歩いているつもりでも、曲がっていくようになります。そのほとんどは骨盤が下がっている側に曲がります。脚を組む方法だけでなく、目を閉じて歩く方法でも骨盤の傾きがわかります。
骨盤が傾いていても、目を開けて歩くと視覚の情報に合わせて自然に曲がりが調整されます。目を開けて歩くと、骨盤の傾きはわからないものの、目を閉じて歩くと本人も周囲の人も簡単に確認することができます。骨盤が下がっているほうの脚は地面からの刺激を強く受けるようになります。この刺激の強さを吸収して調整しているのは膝ですが、刺激が長く続くと膝にダメージが蓄積していって、これが膝を傷める原因となるのです。