身体の細胞は60兆個なのか37兆個なのか

腸内細菌は100兆個から300兆個と増えていって、今では1000兆個と言われるようになっています。さまざまな情報源でも1000兆個が登場するようになっていて、どれを採用していいか判断がつかないところでは「100兆〜1000兆個」と曖昧に表現されています。
いきなり余談ですが、文献の中には「100〜1000兆個」と表示しているところがありました。100兆と1000兆個では10倍も開きがあって、これでも大きな差がありすぎます。それなのに100個と1000兆個では“あまりに”の範囲さえ超えています。これは実際には記載のミスだろうと思われますが、100兆個から1000兆個ということを表現するには「100兆〜1000兆個」と書かなければならないわけです。
ある程度の範囲であれば、実際の数は違っていたとしても間違い情報ではないと言えるものの、“約”がつけられていたとしても60兆個というと人間の細胞の数を示す数字として定着しています。全身の細胞の数が約60兆個とされているのは、細胞の大きさが一辺を10μmの立方体と考えて、細胞の中の水分の割合を85%と推定して、水の密度の1㎤を1とすると、体重が70kgなら60兆個という計算となります。
これとは違う計算法で60兆個を割り出したものもありますが、いろいろと計算をしている中で、37兆2000億個という数字を出したところがあり、これを正式な細胞の数とする専門家も増えてきました。その計算の基本となっているのは体重が60kgの人で、体重が多ければ、それだけ細胞の数も多くなっています。
人間の元である受精卵は1個の細胞で、受精卵が分裂をすることで増えていきます。1個→2個→4個→8個……と増えていくと46回分裂すると37兆個を超えます。ここから37兆2000億個を割り出すのが一般的ですが、全身の細胞のうち約26兆個は赤血球なので、実際には46回も分裂はしていないという考え方があります。