運動は活性酸素を増やして老化を進めるのか

運動は健康によい、運動をしているから健康だ、という考えをする人は多いのですが、一方で運動は健康によくないと主張する人もいます。その理由として、以前は活性酸素があげられていました。運動をすると体内で活性酸素が多く発生します。呼吸で取り入れた酸素の2〜3%は活性酸素に変化して、細胞を傷つけるので、運動によって酸素を多く取り入れるほど活性酸素が増えて、健康度を下げて、寿命にも影響するという考え方があります。
筑波大学の卒業生の寿命を調べたところ、運動系の卒業生は文化系の卒業生よりも10年ほども寿命が短かったという結果が例示されていますが、運動の強度と時間によって大きな差が出てきます。また、運動後のケアによって差が拡大することが指摘されています。そのケアというのは、活性酸素を消去する抗酸化成分のことです。発生した活性酸素を消去するのも大切なことですが、それ以上に大切だと考えられているのは発生量を減らすことです。
活性酸素は、細胞のミトコンドリアの中でブドウ糖と脂肪酸を材料にして、エネルギー代謝を起こすときに発生します。不完全燃焼で有害ガスが発生するのと同じように、ミトコンドリアでの代謝が正常に働かないと活性酸素は多く発生します。エネルギー代謝の不完全燃焼の結果が、活性酸素の発生量ということができます。では、発生量を減らすためには何をすればよいのかということですが、一つにはミトコンドリアにブドウ糖と脂肪酸を効率的に取り入れることです。ブドウ糖を取り入れるためにはR‐αリポ酸(天然型のα‐リポ酸)、脂肪酸を取り入れるためにはL‐カルニチンが必要です。もう一つはミトコンドリア内での代謝に必要な酵素を効率的に働かせるために欠かせない補酵素のコエンザイムQ10を取ることです。
R‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は三大ヒトケミカルと呼ばれています。以前は医薬品としてしか使用できない成分でしたが、今では食品成分としても使用することが許可されていて、サプリメントとして取り入れることができます。運動をするときには、三大ヒトケミカルを使うことが重要だということです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。