遠くを見て歩くとつまずく人の特徴

「下を向いて歩いても金目のものは何も落ちていないから、遠くを見ながら歩くように」という話を聞いて、そのとおりに歩いたら、つまずいた、転びそうになったからと遠くを見てあるくことをやめたという人もいます。多くは高齢者ですが、すべての高齢者ではなくて、つまずく人は歩き方に特徴があります。それは、摺り足になっている方です。摺り足まではいかなくても、歩幅が狭くなっている人も路面に引っかかってしまうということがあります。
正しい歩行法は、かかとから着地して、徐々に前方向に体重を移動させていって、指の力を使って後ろに蹴る感じで前進していきます。かかとに厚みがあるのは、かかとから着地する歩き方を人間は歴史的にしてきたからで、かかとの形に合わせて歩くというよりも、かかとから着地して歩いてきたから、厚くなってきたというのが正解です。
摺り足だと、下半身は安定するかもしれませんが、前に大きく踏み出すことはできません。かかとだけではなく、足の形も筋肉のつき方も長く歩いてきたことから現在の状態になったので、かかとから着地して指まで力を伝えていって、大きく足を踏み出す歩き方が最も身体に合った歩き方だということになります。そして、ウォーキングシューズは、この歩き方をするために靴底や形が決められています。
この足の構造とシューズの特徴に合った歩き方をしていれば、足先から路面に触れることはなくなり、つまずくこともなくなります。足先から先に触れるのは足が上がっていないからです。足先が上がらない人のために足先が浮くようにカーブがついた形になったシューズもあるのですが、それを履いたとしても足首がスムーズに動いて、さらに膝が持ち上がっていないと摺り足に近いような歩き方になって、これも正しい歩き方とは言えません。
歩幅を広げることを意識して歩くと、いやでもかかとから着地する歩き方になっていきます。まずは歩幅を広げること、歩幅を広げても安定した歩き方ができるように左右の足の筋肉が均等に使われるようにします。その歩き方が身につくまでの方法として、私たちはポールを使ったノルディックスタイルのウォーキング(ノルディッックウォーキング、ポールウォーキング)をすすめるようにしています。