酵素は太るのかやせるのか

インターネットでダイエットに関する項目を検索すると、ダイエット商品のメッセージが表示されることがあります。その中で人気が高いというか、頻繁に出てくるのは酵素飲料です。酵素が含まれる飲料を飲めば、難なくやせられるというイメージの記事や広告となっています。すべての商品が、そのとおりだとよいのですが、酵素飲料の中には逆に太るものもあって、見極めは大切です。
酵素の研究は今から70年以上前の終戦直後から始まりました。農林水産省の研究所が食糧難を解決するために2人の研究者が招集されました。1人は酵素を使って植物や動物を大きく育てるほうの研究で、1人は酵素を使って人間の吸収をよくする研究でした。
この2人から教えを受けて、酵素の開発は全国に広がり、今の酵素ブームが起こっていきます。日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、2人の元祖の研究者から直接、酵素の代謝への影響のメカニズムを学んでいます。人間の細胞には酵素が含まれていて、細胞の代謝を起こす触媒の役割をしています。細胞内の生化学反応は酵素がなければ充分に発揮されません。細胞の生化学反応の最たるものはエネルギー代謝で、酵素によって代謝が進めば、エネルギー源の糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)が使われて、ダイエットでいうなら、やせていくことになります。
酵素の材料は植物性食品で、この中に含まれるのは消化酵素であって、人間の細胞の酵素ではありません。それなのに、どうして酵素飲料を飲むと代謝が高まるのかというと、肝臓ではたんぱく質から体内で使われる酵素が作られ、その一部が消化酵素になり、残りは細胞の代謝酵素となります。酵素飲料は消化酵素なので、胃から分泌される消化酵素を減らすことができます。その分だけ代謝酵素に回る分が増えて、細胞内の代謝が高まるということです。
消化酵素が生きている状態でなければならないわけですが、植物を発酵させたあと加熱をしたものは消化酵素の役割がなくなり、甘くてエネルギー量が多い飲料としか呼べないものになってしまいます。これを飲んだら、やせるよりも太ってしまう人がいるのは当然のことです。