非天然型のS‐αリポ酸の危険性

α‐リポ酸のサプリメントの多くには、天然型のR‐αリポ酸と非天然型のS‐αリポ酸を組み合わせたものが使われています。体内で働くことができるのはR‐αリポ酸だけですが、胃液で分解されるので、S‐αリポ酸と組みわせたラセミ体にして分解されにくくするためです。そのために分解されにくくなり、吸収した分の半分しか使われないとしても、それだけのことなら否定するようなものではないはずです。しかし、S‐αリポ酸には危険性があります。
S‐αリポ酸を摂ることによって、肥満患者の場合には細胞にブドウ糖を取り込ませる働きがある細胞内のGLUT4が減少して細胞がブドウ糖を利用できなくなり、糖尿病が発症しやすくなります。R‐αリポ酸の摂取ではブドウ糖の取り組みは改善されます。また、S‐αリポ酸を摂ることによって、糖尿病患者の場合にはGLUT4とGLUT1の膜移動障害によって細胞がブドウ糖を利用できなくなります。これによって糖尿病が悪化して合併症が発症しやすくなり、タンパク質の糖化が進んで血管の老化が進みやすくなります。これによって死亡のリスクが高まります。これに対して、R‐αリポ酸の摂取では糖尿病は改善に向かいます。
さらに、S‐αリポ酸の摂取によって脂質異常症、動脈硬化症、虚血‐再灌流障害患者の場合には、虚血‐再灌流障害を悪化させて、認知障害などの機能障害を悪化させ、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性があります。R‐αリポ酸の摂取では虚血‐再灌流障害は緩和改善されます。
動物試験の結果ですが、ビタミンB₁欠損ラットの死亡率が上昇することが確認されています。これに対してR‐αリポ酸の摂取では死亡率は低下して、生存率が上昇しています。R‐αリポ酸は細胞のミトコンドリアへのブドウ糖の取り込みを促進する作用があるので、すべてにプラスの結果が得られています。こういった結果もあって、R‐αリポ酸は医薬品成分として許可されているわけです。
S‐αリポ酸の死亡率に関しては、動物試験はされていますが、人間を対象としての試験は実施されていません。動物で危険性があるものを人間で試験を行うことは倫理的に許されないからです。だから、人間の危険性を認めるデータはないということで、食品に使用できるという理解しにくい状態が続いています。
R‐αリポ酸だけを摂るためには、シクロデキストリンによって包接する方法があり、包接体、包接型というキーワードとR‐αリポ酸と表示されたサプリメントを選ぶことです。