食品選びは「まごたちわやさしい」だけでよいのか

「まごわやさしい」という言葉を聞いて、“わ”ではなくて“は”の間違いではないのかと突っ込んでくる人がいます。国語的には“は”が正しくて、孫が優しいほうがよいに決まっている、というような話をしているわけではありません。今どきの子供が好きな「オカアサンハヤスメ」からの反省で言われるようになったものです。「まごわやさしい」の前に「オカアサンハヤスメ」を説明しておくと、オムライス、カレーライス、アイスクリーム、サンドイッチ、ハンバーグ、ヤキソバ、スパゲッティ、メダマヤキの頭の文字をとったものです。
「まごわやさしい」は、まめ、ごま、わかめ(海藻)、やさい、しいたけ(きのこ)、いもの頭の文字で、食卓で不足しがちのものを並べています。「まごわやさしい」は食材で、「オカアサンハヤスメ」は料理なので、ネガティブな料理に対してポジティブの料理をということで「おかあさんだいすき」というものもあります。これは、おから、かば焼き、あずきご飯、さんまの塩焼き、だいず料理、いも料理、すのもの、きんぴらごぼうです。
「まごわやさしい」では子供の成長にも高齢者の健康維持にもたんぱく質が不足するということから、卵とチーズ(乳製品)を加えた「まごたちわやさしい」も言われるようになっています。さらに“に”を加えて「まごたちにわやさしい」を提唱する人もいます。肉は食べすぎはよくないとしても、ある程度は摂らないといけないので、動物性たんぱく質の雄である肉は入れておきたいという考えは当然のことです。
『日本人の食事摂取基準』では脂肪の摂取割合は全エネルギー源の中で20〜30%とされています。そのうち動物性食品でも肉類に多く含まれる飽和脂肪酸は7%以下とするのがよいとされています。摂ってはいけない、ではなくて、適度な量を摂ることをすすめているので、肉を食べることで「まごたちにわやさしい」にしてほしいものです。ただし、同じ肉類であっても、飽和脂肪酸が多めの牛肉ではなく、豚肉、鶏肉のほうを選んで食べるのがふさわしいということです。