飲酒をすると血糖値が下がる

お酒を飲むと血糖値は上昇しそうに感じるかもしれません。しかも食事をしながらの飲酒となると、ますます血糖値は上昇しそうに感じます。しかし、飲酒前に血糖値を測定して、飲酒から30〜60分くらいしてから血糖値を測定すると、ほとんどの場合は下がっています。例外的に下がらない人もいるのですが、単純に血糖値を気にするなら、飲酒は問題ないということになります。この内容のNHKの情報番組を見て、「安心して飲める」と言っていた人がいましたが、あなたの場合は例外と言わなければならない人がいました。それは糖尿病の人です。
番組で取り上げていた内容は、飲酒によって肝臓がアルコールの分解を盛んにするようになると、糖質の分解が遅くなって、ブドウ糖に分解される量が減って、血糖値が上昇しにくくなるということでした。食べたものによって血糖値が上昇したときは、膵臓からインスリンが多く分泌されるようになり、これによって血糖値が大きく下がるようになります。そのために、血糖値が低めに抑えられるどころか、低血糖になることもあります。
食べすぎ、飲みすぎの状態で睡眠すると、寝ている間に低血糖になって、そのために寝ている途中で目が覚めることがあります。これは食べすぎ、飲みすぎによってオシッコがたまったため、と考えられがちです。それも理由としてないわけではないのですが、低血糖になると血液中のブドウ糖を補うために肝臓と筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンを分解してブドウ糖として血液中に放出させることになります。そのときに興奮作用のあるアドレナリンが分泌されて、自律神経の交感神経が急に盛んに働くようになります。睡眠中は副交感神経が優位な状態で眠りについているのに、急に交感神経が盛んに働くようになって、それで目覚めるのだと考えられています。
糖尿病といっても、インスリンの分泌が不足したために細胞にブドウ糖が取り込まれにくくなるタイプと、インスリンは分泌されているのに細胞の反応がよくないために取り込みがうまくいかないタイプがあります。インスリンが不足しているために血糖値が上昇している人は、飲酒をしても血糖値が下がりにくいので、飲んで血糖値を下げようなどとは考えてはいけないということです。