骨盤が歪んでいるとエネルギー効率が悪くなる

前回の骨盤のズレがあると正しく歩けない、歩くほど筋肉が緊張して骨盤がズレる原因になる、という話を受けて、「ダイエット効果への影響は」という問い合わせがありました。今回の質問者は雑誌の編集者です。
骨盤はズレがなく、左右の足を均等に前に出すことができると効率よく歩くことができます。骨盤の左右のズレ、上下のズレがあると、左右の歩幅が変わり、着地の強さも変わります。左右の足の着地が同じで、同じ状態でかかとから足先へと体重移動をさせて、拇指(親指)を中心に蹴り出し、後ろ側の足を前に降り出します。
この当たり前の歩き方をすることがすすめられ、歩くポイントが図解されていたり、映像で示されています。その通りに歩ければ、ウォーキングの健康効果が得られて、歩くほどに健康度が高まっていくことにもなるということです。
ところが、メディカルダイエットの一環としてウォーキングの指導をしているときに、参加者の歩き方を観察していると、この人は合格とお墨付きを与えられる人は、ほとんどいません。参加者には指導を通して修正していけばよいのですが、その指導をする立場の方々が正しい歩き方になっていないことが少なくありません。ただ歩き方が違っている、間違っているということなら指導者を指導すればよいのですが、これが身体の状態から起こっていることとなると、ただ歩き方を注意すればよいというわけにはいかなくなります。
足の骨が曲がっているとか、O脚やX脚となると、これは整形外科の分野で、私たちが指導できる範疇を超えています。私たちができるのは、今回のテーマである骨盤のズレの修正です。足を組むときに組みにくい側があると、そちらの側の骨盤が下がっているか、後ろ側にズレています。組みにくいから組まない、組みやすい側で組むというのではなくて、あえて組みにくい方を上にして、組む時間を長くしていきます。これだけで徐々に組みやすくなっていく、つまり骨盤の角度が修正されていくという人もいます。
組みにくい状態のときに足の付け根の鼠蹊部に触れてみると、硬くなっているところがあります。これを揉みほぐしていると徐々にではあっても組みやすくなってきます。凝りがあって引っ張っているところを軟らかくして、伸びやすくしたことで組みやすくなっていきます。
骨盤のズレがあった状態で歩いていたときと比べると、骨盤のズレが解消されたときには足の運びがよくなり、スムーズに前進できるようになります。これによって運動効率がよい歩き方ができるようになって、運動によるエネルギー効率もよくなっていきます。この方法を指導してから、私たちはウォーキングの実践に入るようにしています。