高脂肪食は食後のエネルギー消費が低い

食事をすると体温が上昇します。これは消化・吸収されたエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)の一部が代謝して発生した熱によって起こっていることです。そのために、食事をしたあとに横になっていても代謝量が増えてくれます。この代謝の増加は食事誘発性熱産生と呼ばれています。以前は特異動的作用と呼ばれていたことがあります。1日の消費エネルギー量の割合は基礎代謝が約70%、活動代謝が約20%、そして食事誘発性熱産生が約10%とされています。これは平均的な割合で、エネルギー源の種類によって消費エネルギー量は異なります。
糖質だけを摂った場合は約6%、脂質だけを摂った場合は約4%、たんぱく質だけを摂った場合は約30%になります。1種類だけの食品というのはあまりなくて、通常は3種類のエネルギー源の組み合わせで、平均的には10%ほどとなっています。3種類のエネルギー源の消費エネルギー量の割合に注目すると、たんぱく質が多く含まれるものを食べると食事誘発性熱産生が大きく増えるので、たんぱく源と一般に呼ばれる肉類、魚類を食べるとダイエットできそうな気がするかもしれませんが、肉類にも魚類にも脂肪が多く含まれています。脂肪(脂質)は約4%と消費エネルギー量が低いので、脂肪が多い部位は特に減らすことを考えたほうがよいということです。
ダイエット法として糖質制限が注目されていますが、同じだけの糖質と脂質を摂った場合は消費エネルギーの割合が1.5倍も違うので、糖質を減らして、その分だけ脂質を増やすようなことをすると消費エネルギー量が減ることになります。また、エネルギー量そのものも1gあたりが糖質は約4kcalなのに対して、脂質は約9kcalと2倍以上となっているので、脂肪の摂りすぎはエネルギー量の摂りすぎになります。これが太る原因となることを知って、糖質制限に取り組むときには、脂肪の量を調整するようにしてほしいものです。
エネルギー代謝で活躍する筋肉が少ないと消費エネルギー量が増えにくくなるので、高齢者は、なおさら糖質制限は控えて、たんぱく質を摂るべきであるということを伝えています。