高血糖だとエネルギー代謝が低下する

ブドウ糖は代謝の重要なエネルギー源で、血液中のブドウ糖が多ければ、それだけ代謝が高まりそうな感じがしますが、ブドウ糖が濃い状態になる高血糖状態ではエネルギー産生が高まりにくくなっています。このことを理解するために、Hb(ヘモグロビン)A1cの特徴について説明させてもらいます。
HbA1cは血液中の赤血球の色素であるヘモグロビンが糖化したものです。糖化は、たんぱく質にブドウ糖が結合した状態を指しています。赤血球は骨髄の中で作られて、血液中に放出されてから120日ほどで役目を終えて破壊されます。この120日の間に血糖値(血液中のブドウ糖の値)が高い状態になっていると、徐々にHbA1cが作られていきます。HbA1cが6.5%を超えると糖尿病と診断されます。これはすべてのヘモグロビン量に占めるHbA1cの割合を示しています。
赤血球のヘモグロビンは肺で酸素を結合させて、全身の細胞に酸素を届ける役割をしています。血管の末端でヘモグロビンは酸素を離し、二酸化炭素を結合させて肺まで戻ってきます。そして、二酸化炭素を離して、酸素を結合させます。この働きが正常に行われることによって、全身の細胞に酸素が届けられるわけです。
ところが、HbA1cに変化すると、酸素を結合することはできても酸素を離すことができなくなります。つまり、酸素が運べないことになり、HbA1cの数値が高くなれば高くなるほど酸素の供給量が減っていきます。全身の細胞では酸素を使って、エネルギー源のブドウ糖と脂肪酸の代謝が起こります。ということは、HbA1cが増えて酸素供給量が減るほど、代謝が低下することになります。脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖です。どんなにブドウ糖が多く脳に届けられたとしても、それをエネルギー化させるために必要な酸素が不足したのでは、脳の機能が低下するとともに、脳細胞の再生にも影響を与えます。糖尿病の人は認知症のリスクが高いことが知られていますが、その大きな原因が酸素不足ではないかということで、日本メディカルダイエット支援機構では高齢者の認知機能対策の活動として、脳に酸素を届ける有酸素運動と、エネルギー代謝を高めるために必要な三大ヒトケミカル(α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10)の活用法を研究しています。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。