高齢者は肉とヒトケミカルを摂れ

「高齢者は肉を食べろ」と言われます。血管の健康を守り、丈夫な筋肉をつけて活動的に暮らすためには良質なたんぱく質が必要だからです。しかし、日本人は高齢になると脂肪を分解するために必要な胆汁の分泌量が大きく減少します。これは歴史的に肉の脂肪を多く食べてこなかったために、多く分泌される必要がなかったのです。それに加えて、日本人は今から70年ほど前の戦後から肉を頻繁に食べるようになり、さらに終戦直後に50歳だった平均寿命が一気に80歳を超えるまで急進して長寿となり、身体が高齢期に対応するようにできていないことも関係しています。
そのために脂肪が少ない部位を選び、見える脂肪を落として食べるようにしても、赤身肉の中にも脂肪が含まれていて、これを取り除いて食べるのは容易なことではありません。そこで、私たちがすすめているのが、余分な脂肪を代謝させて、これをエネルギーに変えてしまうことです。
三大ヒトケミカルの一つであるL‐カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに取り込むために必要な成分です。脂肪酸はL‐カルニチンと結びつかなければミトコンドリアの膜を通過して中に入ることができません。L‐カルニチンは体内で合成されているものの、年齢を重ねるにつれて合成量が減り、それが脂肪酸の取り込みを減少させています。取り込まれなければ代謝されないので、血液中に多く残り、血管にダメージを与えるとともに、余分な脂肪となって脂肪細胞の中に取り込まれていくことになります。
そこで不足しているものを補うという発想になるわけですが、以前は医薬品としてしか使うことができなかったものが、今では食品成分として使用が許可され、サプリメント成分として使われています。そこでL‐カルニチンが不足する年齢になったら、サプリメントからL‐カルニチンを摂ることをすすめているわけです。
高齢者は肉を食べろ、ということを言うなら、それと同時にL‐カルニチンと、ミトコンドリア内での代謝酵素の補酵素の役割をしているコエンザイムQ10を摂ってほしいということを説明させてもらっています。
L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。