1歩の価値の別の計算結果

1日の歩数を増やすと医療費の削減になるという話をしたときに使用した計算式は、厚生労働省研究班の生活習慣病予防を目的とした試算でした。これによると、1歩で0.00147円の医療費の削減になり、1万歩あたり約14.7円、1週間あたり約102.9円の価値があるといいます。週に7万歩のウォーキングを1年間実施すると、1人あたりの年間医療費の削減効果は「102.9円×52週=5350.8円」となります。1万人が1万歩を歩くと約5350万円にもなる試算となっています。
これではモチベーションが高まらない、自治体にプレゼンするにも弱いという声があり、それに対応するために引っ張り出したのはウエルネスコミュニティ協議会(SWC)による実証試験の結果です。SWCは地域のコミュニティ単位でのプラットフォームづくりを推進するための活動をしている団体で、そのSWCの研究発表によると、運動を中心とした健康づくりによって暦年齢が58歳の人の体力年齢が3か月後に65.4歳から60.9歳に4.5歳、若返りました。健康づくり実施群は対照群(平均年齢70歳)に比べて4年後の医療費は1人当たり約9万円抑制されたとの結果が報告されています。
SWCではポイント制度を設けて、歩数の増加、運動プログラムへの参加、6か月の継続、健診の受診という行動に加えて、体組成の改善、健診データの改善に、それぞれポイントを付与しています。このポイントはインセンティブとして貯まったポイント(年間最大24,000ポイント/24,000円相当)を地域商品券、社会貢献(寄付)、ポイントカードに交換することができる制度となっています。
このポイント制度によって活動量(1日の歩数)が1980歩増加して8000歩を上回っています。8000歩は中之条研究(群馬県中之条町)において最も健康増進に効果がある歩数とされています(8000歩のうち20分間は中強度の早歩き)。これまでのSWCの研究成果から歩数増加による医療費抑制への貢献が割り出されています。それによると1歩が0.061円となり、1日に2000歩を増やした場合には1万人が参加すると年間で4億円以上の抑制になると計算されています。「0.061円×2000歩×365日×1万人=4億4530万円」
また、個人の成果では1年間、毎日3000歩ずつ増やすと入院医療費は約21,000円の抑制、通院医療費は約40,500円の抑制と報告(筑波大学)されています。
これだけの結果が有酸素運動のウォーキングによって得られているものの、運動に取り組む人は頭打ちで、健康づくりの運動に継続的に参加する人を増やすことこそが重要であることが指摘されています。その運動として私たちはインターバルウォーキングとともに、多くの人が参加して続けられる生涯スポーツを紹介しています。