100gの糖から28gの脂肪が作られる

最近の研究の話題として「グリコーゲンにならなかったブドウ糖の28%が脂肪に合成される」ということがあり、この28%についての質問が複数ありました。中でもメディア関係者には「糖が脂肪に合成されるときのエネルギーロス率は23%」と話していることもあって、28%と23%の関連性も聞かれます。
エネルギーとして使われなかったブドウ糖はグリコーゲンに合成されて、筋肉や肝臓に蓄積されます。蓄積される量は筋肉と肝臓を合わせて300gほどで、それを超えたブドウ糖があると肝臓の中で脂肪酸に合成されて、これが中性脂肪に変化した後に脂肪細胞の中に蓄積される体脂肪となります。中性脂肪は脂肪酸が3個結びついた形をしています。肉や魚を食べて身体に入ってくる脂肪の多くは中性脂肪となっています。
ブドウ糖100gが脂肪28gになるということは割合では28%の変化となるわけですが、これは重量を指しています。エネルギーロス率の話をするにはエネルギー量で比較しないといけないわけですが、糖質は1g当たり約4kcal、脂質は1g当たり約9kcalと2倍以上となっています。4kcal×100g=400kcalの糖質が9kcal×28g=252kcalとなり、エネルギー量だと63%にもなります。
糖質が脂質に変化するときに肝臓で使われるエネルギー量が23%も必要になるということで、この量を差し引いた結果が28%となります。エネルギーロスが起こらなかったら、もっと多くの脂肪が蓄積されていたわけです。
これだけ多く脂肪に変化して、それが蓄積されるとなると糖質も脂質も食べすぎを控えることがダイエットの基本となることは理解しやすいわけですが、日本人は糖質が脂質に変化しやすい体質を持っている人が特に多い国民となっています。その体質は肥満遺伝子の影響を受けていて、糖質が脂質に変化しやすいのはβ3アドレナリン受容体遺伝子タイプといって、日本人の30%ほどが持っています。このタイプの人は脂肪が増えやすいだけでなく、蓄積された脂肪が分解されにくく、糖質制限が求められる人となります。
ということは、このタイプでない人は糖質制限の効果が出にくいということも言えるわけです。この質問をしてきたテレビのディレクターは、すべての人に共通するテーマを求めてきます。彼に限ったことではなくて、テレビ業界の常ですが、こと肥満遺伝子の話になると少なくとも3タイプ、その中間の3タイプ、さらにすべてのタイプの遺伝子を持つ人もいます。そう簡単な話ではないと説明するのですが、わかってもらえないのか、わかっていてやっているのかはわかりませんが、なかなかテレビ番組では伝えられていないことです。