90歳の高齢者の平均余命は長いのか

90歳まで健康に過ごせた人は、「随分と頑張ってきたので、そろそろ……」と口にする人がいる一方で、「ここまで頑張ってきたので、まだまだ……」と口にする人もいます。日本人の体質に合った健康法、長寿法の研究をしている日本メディカルダイエット支援機構としては、「まだまだ」という意識を持って、これまでの体験、経験を伝えてほしいと願っているところですが、その裏付けを示さないことには単なる励ましと思われかねません。これと同じことを雑誌記者などから言われると、いつも示しているのが厚生労働省の平均余命のデータです。
高齢の方に余命という言葉を使うのは、「あと何年生きられるか」ということを言っているようで、積極的には使いたくはないのですが、厚生労働省が簡易生命表の中で平均余命という言葉を使っているので、これが正式名称として仕方なく使っています。
よく知られる平均寿命の元ネタとなっているのが年齢別の平均余命で、0歳の人の平均余命が一般的に言われる平均寿命となっています。平成29年簡易生命表によると、男性は81.09歳、女性は87.26歳で、ともに過去最高で、男性は初めて81歳に達しました。これを見て、80歳だと男性は、あと1.09年、女性は、あと7.26年生きられるのかと思うかもしれませんが、実際のデータは異なっています。
80歳の男性の平均余命は男性が8.95年、女性が11.84年となっています。80歳まで達した人は、それなりに健康で、本人の努力もあったから“生き延びてきた”ということで、まだまだ長生きできるのです。平均寿命を越えた90歳の人はどうなのかというと、男性が4.25年、女性が5.61年となっています。こちらもまだまだ元気で過ごせるということです。
71年前の昭和22年に戦後初の平均余命が発表されていますが、そのときの0歳の平均余命、つまり平均寿命は男性が50.06歳、女性が53.96歳でした。少なくとも今、平均寿命を越えた方々は、とてもじゃないが無理と考えていた年齢を大きく越えていて、いかに頑張って生きてきたのかを示すデータとなっています。平均余命のデータは90歳までしかありません。現在の100歳以上は約6万7000人にも達しているのですが、「そのデータが発表されるまで、もっと長生きしてほしい」と90歳以上の超高齢者に話しています。