R‐αリポ酸でなければ役に立たないのか

α‐リポ酸には天然型のR‐αリポ酸と非天然型のS‐αリポ酸があります。R‐αリポ酸は役に立つのか立たないのかということを問われると、これは間違いなく役に立ちます。というのは、体内で合成されるのはR‐αリポ酸であり、体内で使われるのもR‐αリポ酸だからです。α‐リポ酸が医薬品成分から食品成分としても使用することが許可されたとき、R‐αリポ酸は胃液で分解されるので、S‐αリポ酸と組み合わせたラセミ体が使われました。これによって胃液で分解されにくくなり、サプリメントとして摂ると、半分は体内では使われないものの、半分は使われることから現状では仕方がないという認識でラセミ体がサプリメント素材の基本となりました。
非天然型のS‐αリポ酸が身体に害がなければ、体内で使われる量が少ないというだけで、特に問題にはならなかったのかもしれません。しかし、S‐αリポ酸は動物試験で死亡例もある危険性が指摘されています。そのため、動物には使用が禁じられています。それなのに人間が使うサプリメント素材では禁止されていません。というのは、人間では危険性が確認されていないからです。これは“動物では危険だが人間では危険性がない”ということではありません。動物試験で危険性がわかっているものを人間で試験することは倫理上許されていないからです。だから、試験が行われず、“危険が確認されていないから使っていい”ということになっています。
R‐αリポ酸がS‐αリポ酸と組み合わせたラセミ体でなければ摂れないということなら、α‐リポ酸は危険だから摂ってはいけないということを伝えればよいことになるのかもしれませんが、R‐αリポ酸だけを摂る方法があります。それはシクロデキストリン(環状オリゴ糖)とR‐αリポ酸を包接させたもので、この包接型のR‐αリポ酸なら胃液で分解されることもなく、効果的に吸収させることができます。シクロデキストリンに有害性があっては仕方がないことになりそうですが、シクロデキストリンはブドウ糖が環状(輪)につながったものです。通常の鎖状につながったオリゴ糖が環状になっているだけなので安全であり、R‐αリポ酸のデメリット(胃液で分解される)を排除して、メリットだけを得られるようにすることに成功しています。
α‐リポ酸とシクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。