Diet Designer18 野菜が多くても便通が少ない理由

アメリカ人の便通回数は、かつては週に4回だと前に紹介しましたが、野菜の摂取量が日本人よりも多くなったことで、日本人の平均回数の週7回に近づいてきたのではないか、と考えられてきました。しかし、実際には週5回と、それほど大きな改善とはなっていません。

野菜の摂取量が多いということは、食物繊維が多くなっていると想像されるところですが、食物繊維が多く含まれるのは根菜類で、その摂取量は日本人のほうが多くなっています。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、野菜に多く含まれるのは不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は腸壁を刺激するものの、便を固くする作用があります。それに対して水溶性食物繊維は便を柔らかくする作用があって、便通を促進するには海藻、きのこ、果物に多く含まれる水溶性食物繊維を多く摂らないと便通は改善されにくいのです。

アメリカ人の食生活を見ると、日本人よりも肉類の摂取量が多くなっています。アメリカでは1日平均で10オンス(284g)の肉を食べています。これに対して日本人の摂取量は1日平均で103gと、かなりの差があります。肉の摂取量が最も多い15〜19歳でも168.3gでしかありません。

腸内細菌の悪玉菌は、動物性たんぱく質と脂肪を主な栄養源としているので、肉の摂取が多くなると悪玉菌が増えて便通が悪くなります。善玉菌の栄養源になるのは糖質と食物繊維で、日本人の食事は善玉菌が増えやすく、悪玉菌が増えにくい内容ということができます。善玉菌が増えると、便の量が増え、便が柔らかくなり、便通が促進されます。それに対して、悪玉菌が増えると、便の量が減り、便が硬くなり、これが便通を悪くする要因となります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)