003 脂肪燃焼促進のためのヒトケミカル

細胞のミトコンドリアの中でブドウ糖や脂肪酸を取り込んで燃焼させるためには、三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が必要になります。ミトコンドリアにブドウ糖が取り込まれてアセチルCoAに変化するためにはα‐リポ酸が必要です。α‐リポ酸にはミトコンドリアの中のTCA回路での燃焼を促進させる働きがあります。脂肪酸はミトコンドリアの膜を通過することができませんが、L‐カルニチンと結びつくことで通過することができます。通過した後にアセチルCoAへと変化します。
アセチルCoAはTCA回路で燃焼することによってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られます。ATPからリン酸が離れてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。このエネルギー産生のときに作用する酵素がありますが、この酵素の働きを補助する補酵素の役割をしているのがコエンザイムQ10です、つまり、エネルギー産生の仕上げにコエンザイムQ10が必要になっているということです。
これらの三大ヒトケミカルは体内で合成されていて、そのピークは20歳代です。ピークをすぎると徐々に合成量は低下していって、体内の保持量も減っていきます。そのために年齢を重ねるとエネルギー代謝が低下していきます。これまで代謝の低下は単に年齢によるもの、加齢によって筋肉量が減るためと考えられてきましたが、三大ヒトケミカルの働きが明らかになったことで、代謝の低下を抑えることが可能であることがわかってきました。
合成のピークは生涯でみると20歳代ですが、10代から20代でみると20歳となっています。といっても20代半ばまでは不足することはないので、サプリメントなどで補う必要はないとされています。しかし、合成するためには材料が必要です。
α‐リポ酸は体内で脂肪酸とシステインから合成されます。システインは皮膚のメラニン色素の産生を抑えるアミノ酸として知られていますが、肉や魚に含まれています。肉にも魚にも脂肪酸が含まれることから、肉と魚が食事で足りていればα‐リポ酸は不足することはないというわけです。また、α‐リポ酸はブロッコリー、ほうれん草、トマト、牛のレバーなどに含まれています。
L‐カルニチンはアミノ酸のリジンとメチオニンから合成されます。リジンは魚介類、肉類、卵、牛乳、大豆に多く含まれています。メチオニンは牛乳、牛肉、羊肉などに多く含まれています。L‐カルニチンは赤身肉に多く、中でも羊肉に多く含まれています。一時期、羊肉を食べると太らないとの情報が広まったのはL‐カルニチンが多く含有されていることから言われたことです。
コエンザイムQ10はアミノ酸のフェニルアラニンから合成されます。フェニルアラニンは肉、魚、卵、大豆などに多く含まれています。コエンザイムQ10は青魚、肉類、大豆などにも含まれていますが、含有量は非常に少ないので、合成を増やすこと以外はサプリメントでの摂取がすすめられています。