022 脂肪の吸収を抑える方法

食品に含まれる脂肪は中性脂肪となっています。中性脂肪というのは、脂肪酸3個をグリセロール1個がつないでいるもので、消化液によって脂肪酸が分解されて吸収されます。中性脂肪のままでは吸収されないので、それを利用する方法として活用されるのが食物繊維の中でも脂肪を吸着する作用がある水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は水分を吸って膨らみ、このゲル状になった部分に脂肪が吸着されます。水溶性食物繊維が多く含まれるのは海藻やキノコで、これらの食品を脂肪が多く含まれる食品と一緒に摂ると吸収が抑えられるわけです。
ただし水溶性食物繊維は脂肪の種類を選択して吸着するわけではないので、身体にとって必要な短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸も吸着してしまいます。短鎖脂肪酸も中鎖脂肪酸も吸収されたとしても燃焼されやすいタイプの脂肪酸です。機能性食品として知られる難消化性デキストリンも選択的には吸着をしません。
同じ脂肪であっても長鎖脂肪酸やトランス脂肪酸のように燃焼されにくく、しかも動脈硬化のリスクを高める脂肪酸は吸収されないほうがよいわけですが、それを選択してくれるのが環状オリゴ糖(α‐シクロデキストリン)です。環状オリゴ糖はブドウ糖が輪になった構造をしていて、α型はブドウ糖6個が輪になっています。この輪のサイズは直径1nm(ナノメートル)と微小です。ちなみに1nmは100万分の1mmです。この輪の中に直線的な長鎖脂肪酸とトランス脂肪酸は入って吸収が妨げられ、折れ曲がった形の短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は入ることができないために吸着されずに吸収されることになります。