059 カルシウムでダイエットできるのか

女性にカルシウムを積極的に摂ってもらうために、「カルシウムを摂るとダイエットできる」という話題を広められないかとお役人から言われたことがあります。それくらいカルシウムの摂取量を増やすのは重要なこととなっているということです。カルシウムは骨や歯を構成するミネラルで、99%が骨と歯にあり、残りの1%は全身の組織になり、神経伝達や筋肉を動かすことなどに使われています。カルシウムの蓄積量のピークは20歳前後で、それ以降は減る一方となります。カルシウムは牛乳、小魚、海藻、大豆・大豆製品、緑黄色野菜に多く含まれています。
女性のカルシウムの摂取量の実態は、平成11年の国民健康・栄養調査から発表されています。それまでは男女を合わせた統計だったのですが、女性のカルシウム摂取量が10%も少ないというので対策が実施されてきました。それで改善されたのかというと、最近のデータでは30%以上も不足しています。摂取目標量が1日600mgから650mgに増やされたので割合が低くなるとしても、こんなにも大きく不足することはなくて、カルシウムの重要性をアピールしたのに聞き届けられなかったということを示しています。
カルシウムでダイエットというと、一つには便通の改善があります。カルシウムの吸収率は30%ほどで、吸収されなかったものは腸壁を刺激して蠕動運動を盛んにする働きをします。フランスなどのヨーロッパに旅行をして水道水を飲むと下痢をする、便秘の人は便通がよくなるということを経験するのは、ヨーロッパの水にカルシウムが豊富に含まれているからです。
これはカルシウムだけでなく、フランスの水道水にはマグネシウムも多くて、マグネシウムにも便通促進作用があります。マグネシウムは下剤の材料でもあります。豆腐の凝固剤としても使われるにがりには便通促進作用があるというので一時期、テレビでも話題になりましたが、にがりの正体はマグネシウムです。