067 腸内環境を整えるシンバイオティクス

腸の健康を考えるときに、必ずといっていいほど出てくるのが、腸内細菌を身体の中に届けることと、腸内細菌のための栄養を与えることの、どちらを優先させたほうがよいかということです。これは健康づくりのプログラムを組み立てているときにも、よく話題にのぼります。
腸内細菌の善玉菌と同じ働きをするものを食品や飲料として食べたり飲んだりするのはプロバイオティクス(probiotics)といいます。善玉菌の代表のビフィズス菌などは腸内では1〜2日しか生きられないので、それを摂っても意味がないという人がいます。だから、腸内の善玉菌の栄養源となるオリゴ糖などを摂るプレバイオティクス(prebiotics)を優先させるべきだと言ったりします。
どちらがよいのかを考えることは腸内細菌を理解するにはよいことではあるものの、両方の方法に意味があります。ヨーグルトなどでビフィズス菌を摂っても定着しないとしても、腸内で生存している間に腸内を酸性化させて、もともと腸内にいた善玉菌が増えやすい環境を作ることができます。プレバイオティクスは腸内にいた善玉菌と食べ物で摂った善玉菌を増やすことができます。
その両方を一緒にすることはシンバイオティクス(synbiotics)と呼ばれています。
プロバイオティクスは1989年にイギリスのフラー博士によって提唱された考えで、腸内細菌の善玉菌と同じ働きをする微生物を摂ることで腸内環境を整えることを言います。
プレバイオティクスは1995年にイギリスのギブソンによって提唱された考えで、腸内細菌の善玉菌の栄養源を摂ることを指します。プロバイオティクスに対して、前を示すプレ(pre)からプレバイオティクスと名付けられました。
シンバイオティクスはプロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることで、一緒に示すシン(syn)からシンバイオティクスと名付けられたもので、プレバイオティクスと同じく1995年にイギリスのギブソンによって提唱されました。