087 野菜と果物の違い

果物(フルーツ)というとデザート感覚で食べられるもの、甘くておいしいものというイメージがあります。そのため、イチゴもメロンも果物と認識している人が多いはずです。販売するところは一般のイメージに合わせているので、果物屋さん、スーパーやデパートの果物売り場にはイチゴもメロンもスイカも普通に並んでいます。少なくとも、これらのものを野菜として扱って料理に使うということはないと思います。
しかし、定義を確かめてみると、野菜は地面で栽培するもので、果物は木に成るものとされています。この大原則からいくと、地面で栽培するイチゴもメロンもスイカも野菜ということになります。スイカは甘いので野菜ではないとの認識は普通の感覚ですが、目を閉じて、鼻をつまんで食べてみるとキュウリにしか感じられなくなります。舌の感覚はそのままなのに、目で見る印象と香りは重要です。この実験で、なるほどスイカは野菜だなとも感じさせられます。
桃も梅も梨も柿も林檎も柑橘類もブドウも、どれも木に成るので、これは果物で間違いありません。品種改良のおかげで、新しい果物の種類は増え、新種が登場するたびに甘くなっている感じがします。確かに糖度を測定すると以前よりも数値が高くなっています。それだけおいしくなっているのはよいとしても、糖の中に占めるブドウ糖の量は増えてきています。
果物の甘さのメインは果糖で、ブドウ糖の2倍ほどの甘みがあるのですが、果糖の量には限界があるようで、もっと甘くするにはブドウ糖を増やす品種改良が求められています。果糖はフルクトースとも呼ばれる単糖の一種で、木に成る果物、メロン、はちみつなどに多く含まれています。血糖は血液中のブドウ糖を指すので、果糖は血糖値を上昇させません。肝臓で脂肪に合成されやすいため、摂りすぎると太る原因にもなります。ダイエットのために甘いものを制限している人は注意しなければならない変化です。