107 やせホルモンで本当にやせるのか

運動をしなくてもダイエット効果があるホルモンを分泌させることでやせられるという“やせホルモン”が話題となり、それを分泌させる食品が注目されています。やせホルモンと呼ばれているのは、実際にはホルモンではなくて、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のアディポネクチンです。
運動をすると脂肪分解酵素のリパーゼが活性化され、体脂肪が分解されて血液中に脂肪酸が放出されます。リパーゼは筋肉の中にあるのですが、筋肉にはAMPキナーゼという酵素も含まれています。運動をしてAMPキナーゼが活性化するとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すために、細胞のミトコンドリアに脂肪酸の燃焼を働きかけます。
通常は運動をしないとAMPキナーゼは活性化しないわけですが、アディポネクチンが分泌されると運動をしていないのにAMPキナーゼが活性化されます。その働きがあることが確認されている食品は、おからとコーヒーです。おからは、そのままでは食べにくいこともあってパウダーになったものが販売されていて、これを料理にかけるだけでダイエットできるというのが一般に知られているメカニズムです。おからパウダーは水分を吸って3倍にも膨らむので、食べすぎを抑える効果があり、これがダイエットにつながるという考えもあります。
運動をしなくてもダイエットできるということを知ると、面倒な運動をしなくなる人もいますが、運動と食事の両方でAMPキナーゼを活性化させると、より効果が高まると考えてほしいところです。