109 冷えで太るのか

お腹や手足が冷えている人は、代謝が低いので、太りやすいと言われます。冷えているために太るのか、太っていると冷えるのかという議論があります。身体の冷えは血液の温度が低いからではなく、温かな血液が効率よく送られてこないために放熱に補給が間に合わなくなり、徐々に冷えていくようになります。脂肪の燃焼のためには全身の細胞に酸素が充分に送られてくる必要があり、血流がよくないということは、それだけ酸素が不足して、脂肪燃焼も低下するということになります。
太っている人は脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が多くなっています。脂肪細胞の脂肪の出入りは血管を通って行われています。脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が多くなると、それだけ脂肪細胞に送られる血液が多くなり、全身を巡る血液が減ることになります。また、脂肪の蓄積が少ない人は、薄着をしているような状態なので体内で発生させる熱量を多くする必要があります。それに対して脂肪の蓄積が多い人は厚着状態なので、熱量を増やさなくてもよいことから、徐々に体熱の発生が少なくなる傾向があります。これは冷えの原因にもなります。
1日の消費エネルギー量のうち約70%は生命維持のための基礎代謝で、そのうちの約70%が体熱の産生に使われます。つまり、約半分は体熱のために使われています。糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)の燃焼にはヒトケミカルのR‐αリポ酸(天然型のα‐リポ酸)、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が必要ですが、20歳をピークに体内での合成が減少してきます。その減少が早い人は体熱産生が低くなり、冷えるようになります。