142 寝ている間のやせホルモンが多くなる食べ物

一般に“やせホルモン”というと成長ホルモンを指していて、就寝中に成長ホルモンが分泌されることで睡眠中の7時間で300kcalが消費されるといいます。これは生命維持に使われる基礎代謝と同じエネルギー量で、寝ているだけで消費されるのと同じ量なので、これを低下させないことがダイエットに役立つことになります。成長ホルモンの分泌を高める運動は、やりすぎるとアドレナリンが分泌されて興奮状態になり、睡眠に悪影響が出るので、運動は負担をかけすぎない程度にして、別の“やせホルモン”を分泌させることも考えます。
注目されているホルモンは、小腸で作られる消化管ホルモンのGLP‐1(グルカゴン様ペプチド‐1)です。GLP‐1には血糖値の上昇を抑える作用があります。満腹中枢は血糖値が上昇することで働きが盛んになりますが、GLP‐1には血糖値の上昇を抑えるのに満腹中枢を刺激する作用があり、これがダイエット効果につながっています。
GLP‐1を分泌する小腸下部の細胞を刺激することで分泌が盛んになりますが、その働きをしているのは青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)です。不飽和脂肪酸は脂肪酸のうち常温では固まらない性質があり、血液サラサラの成分としても知られています。魚では青魚に多く、植物油(大豆油、オリーブ油、ごま油など)にも多く含まれています。獣肉に多く含まれる飽和脂肪酸が血液中の中性脂肪やコレステロールを増やすのに対して、不飽和脂肪酸には逆に減らす作用があります。
GLP‐1を分泌させるためには1日にEPAを1000mgは摂る必要があるとされ、青魚(サバ、マグロ、イワシ、さんまなど)を100g食べると、これをクリアできることになります。EPAが100g中に最も多く含まれているのはサバ(1645mg)で、マグロのトロ(1450mg)、イワシ(1170mg)となっています。イクラには1610mgも含まれていますが、コレステロールや痛風が気になる人は、青魚にしたほうが安心です。