150 明かりを活かした熟睡ルーティン

睡眠のリズムは夕方になって暗くなってくると、光が弱まってくるのを感じて自律神経の抑制系の副交感神経の働きが盛んになり、興奮系の交感神経の働きが抑えられるようになります。夕方から夜にかけては体内時計を調整して、睡眠に誘ってくれるメラトニンが多く分泌されてきますが、照度を落としたほうがメラトニンの分泌が増えるので、21時を過ぎたら照明をワンランク落とすのが熟睡のための第一段階となります。
寝る寸前までテレビを見ていたり、パソコンやスマホの画面を見ていると、寝つけたとしても熟睡しにくくなります。これは脳が興奮して副交感神経の働きが主になりにくいとともに、ブルーライトがメラトニンの生成を抑制することから深い眠りが得にくくなることが指摘されています。ブルーライトは波長が380~500nm(ナノメートル)の青色の光のことです。人間が見ることができる可視光線の中で最も波長が短く、強いエネルギーがあるために角膜や水晶体では吸収されずに網膜まで届くために、脳が強く刺激されやすくなっています。
寝室の照明は暗めにすると、さらに寝つきやすくなりますが、天井から光が当たっていると布団の中で仰向けになったときに光が目に直接入ってきて、リラックス状態から引き戻されることにもなります。そこで寝室は天井からの光ではなく、横から光が当たるようにするか、壁に光を当てて、やわらかな感じの間接照明にします。その光もLEDはブルーライト系なので、白光の蛍光灯か電球のやさしい光にしたほうが気持ちが落ち着いて、電灯を消したときに寝つきやすくなります。
眠っているときの明るさは10ルクスくらいが最適で、この程度の光の中で眠るとメラトニンが分泌されやすくなります。10ルクスは蛍光灯の豆電球の明るさで、それ以外の光があると余分な明るさとなってしまいます。赤や青の光は脳を刺激しやすく、オレンジやピンク色の照明はリラックス効果があり、寝つきやすくなります。切り替えができる蛍光灯の中には暖色系のものもあり、21時以降は、この蛍光灯にするのは熟睡のための途中の明かりとしてはよいことです。