172 食事の前にできる簡単で効果がある室内運動

血糖値の上昇に応じて分泌されるインスリンには肝臓で脂肪を合成させるとともに、脂肪細胞の中に脂肪を蓄積されやすくします。そのためにインスリンが多く分泌されるほど太りやすくなります。食事の前に運動をすると自律神経の交感神経の働きが盛んになり、インスリンの分泌量を減らして、脂肪の合成と蓄積を減らすことができるようになります。運動には有酸素運動と無酸素運動があり、どちらの運動にも交感神経の働きを盛んにさせる効果があります。
しかし、食事の前にダイエットのためにする運動としては無酸素運動がすすめられます。筋肉の中にはブドウ糖が結びついたグリコーゲンが蓄積されていて、血液中のブドウ糖が不足したときにはグリコーゲンが分解されて血液中に放出されます。空腹時の筋肉運動はブドウ糖を多く消費することから、筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンが分解されます。そのあとに食事をすると、筋肉から出て行ったグリコーゲンを補うために、肝臓でブドウ糖を材料にグリコーゲン合成が進んで、グリコーゲンが多く作られるようになります。
肝臓には余分となったエネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸)を材料にして、身体に必要なグリコーゲン、中性脂肪、タンパク質を作り出す働きがあります。その働きのうち、筋肉と肝臓の中に保存・備蓄用のブドウ糖として、ブドウ糖をグリコーゲンに合成する作用のことをグリコーゲン合成といいます。
グリコーゲンが多く作られた結果として、筋肉運動をしないときに比べて血液中のブドウ糖の量が少なくなり、血糖値が上昇しにくくなる分だけ、インスリンの分泌量も減って、合成・蓄積される脂肪を減らすことができるようになります。
走る、跳ぶ、投げるといった全身運動は多くの筋肉を使うことができますが、室内では、これらのことは難しいことです。室内では膝の曲げ伸ばしをする屈伸運動が向いています。筋肉の多くは下半身についているので、腰から下を大きく動かすことができます。