203 運動による認知機能改善

脳細胞に取り込まれたブドウ糖は、細胞内でエネルギーを作り出す小器官のミトコンドリアに取り込まれます。ブドウ糖はエネルギー源であって、これを材料にしてミトコンドリアの中でエネルギーを作り出す必要があります。そのために必要なのが、ブドウ糖をミトコンドリアに取り込むと同時にミトコンドリアの中での代謝を高める働きがあるR‐αリポ酸です。R‐αリポ酸は天然型のα‐リポ酸を指しています。
α‐リポ酸というとダイエット向けの商品に使われていることから、健康食品の素材だと思われがちですが、そもそもは体内で合成される代謝促進成分です。代謝が低下することによって起こる疾患の治療のために医薬品として開発され、これが食品としての使用が許可され、健康食品にも使われるようになったという経緯があります。
R‐αリポ酸は体内で合成されるものの、20歳をピークに合成量が減り続けます。合成量の不足が年齢を重ねるにつれて代謝が低下していく原因となっています。そのR‐αリポ酸が不足した状態では、ブドウ糖のエネルギー代謝が充分に行われなくなり、これが脳細胞のエネルギー不足にもつながっていくわけです。
ミトコンドリアの中で起こるエネルギー代謝には酸素が必要で、多くの酸素を取り込む運動は脳細胞の働きを維持し、高めるために重要な要素となります。
日本神経学会から『認知症疾患治療ガイドライン2017』が発表されていますが、認知症の予防効果があることとしてウォーキング、サイクリング、階段の上り下りなどの有酸素運動があげられています。