206 腸内環境とダイエットの関係

腸内には300種類以上、約300兆個もの腸内細菌が棲息しているといいます。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。そのバランスによって腸内環境が変化しますが、善玉菌が増えることによって便通や体調がよくなるだけでなく、認知機能が高まることが確認されています。
腸内細菌は生まれる前の胎児の腸内には存在していなくて、産道で母親から腸内細菌を受け継ぎます。誕生直後の赤ちゃんの腸内細菌のほとんどはアクチノバクテリア門に分類される善玉菌で、その多くはビフィズス菌となっています。その後にはフィルミキュテス門の細菌が増えていきますが、これは乳酸菌や皮膚の常在菌などです。フィルミキュテス門は脂肪分解を抑える働きがあることから、一般にはデブ菌とも呼ばれています。
ダイエットに関してフィルミキュテス門は余分なものと思われがちですが、脂肪の分解を抑えて、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪を増やすことは生命維持には重要なことです。中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついた構造の脂肪酸を蓄積するための形態です。脂肪酸は細胞内のミトコンドリアでのエネルギー代謝によってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すためのエネルギー源であり、脂肪酸を多く蓄積することで成長と活動のためのエネルギーとしているわけです。
60歳以降になるとバクテロイデス門が増えていきます。バクテロイデス門は日和見菌です。日和見菌は普段は腸内環境に影響を与えるものではないものの、悪玉菌が増えると日和見菌は悪玉菌と同様の働きをするようになります。バクテロイデス門は脂肪の分解を抑えることからヤセ菌とも呼ばれています。