217 内臓脂肪と血圧上昇の関係

血圧が上昇する原因は複数ありますが、内臓脂肪の蓄積によっても上昇します。内臓脂肪が蓄積すると悪玉の生理活性物質のアンジオテンシノーゲンが分泌されます。この生理活性物質はインスリン抵抗性を引き起こして血糖値を上昇させることが知られていますが、それと同時に血管を収縮させ、さらに血液中の塩分濃度を高めるために、血圧を上昇させます。
肥満になると、血管の外側にある脂肪細胞が膨らむことになり、血管が圧迫されて血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになって、血圧が高くなっていきます。
また、肥満になると、脂肪細胞の中にたまっている脂肪を血液中に放出するために、自律神経の交感神経の働きが盛んになり、脳から興奮作用があるアドレナリンが多く分泌されるようになります。アドレナリンは血圧を上げるホルモンでもあるので、多く分泌されるほど血圧は上昇していくようになります。20歳のときよりも10kg以上も太った人は、脂肪細胞が肥大増殖型になっています。脂肪を多くためているのは正常な状態ではないために、常にアドレナリンが多く分泌され、常に血管が収縮して血圧が上昇することになります。
内臓脂肪を減らすのに効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動は、酸素を吸いながらの運動で、酸素を体内に多く取り込みます。脂肪を分解する働きをする酵素のリパーゼの働きによって、分解された脂肪酸は細胞のミトコンドリア内で酸素を使って燃焼されます。細胞の中でも燃焼によって多くのエネルギーを作り出しているのは筋肉細胞です。
有酸素運動は、無酸素運動に比べると血管への負担が少なく、血管の弾力性を高めることにも役立つため、血圧が高めの人でも安心して続けることができます。