219 糖尿病予備群に糖質制限は効果があるのか

糖尿病予備群というと、糖尿病になるリスクが高い人、今の食生活、運動不足の状態を続けたら将来は糖尿病になりやすい人、という印象が抱かれがちです。しかし、厚生労働省の国民健康・栄養調査によると糖尿病は糖尿病が強く疑われる者、糖尿病予備群は糖尿病の危険性が否定できない者とされています。その該当者は、ともに1000万人ずつと推定されています。調査対象は成人人口の1億人なので計2000万人、つまり5人に1人が糖尿病か、糖尿病のリスクが極めて高い人だということになります。
糖尿病は血液中のブドウ糖が多くなりすぎた状態であるので、ブドウ糖が含まれる糖質を摂らなければ血糖値が上昇しなくなるのは当たり前の反応です。この糖質制限を糖尿病の人はやるべきではありません。というのは、糖尿病は細胞がブドウ糖を充分に取り込めないために血糖値が上昇したまま下がりにくくなっているので、ブドウ糖の摂取を減らしすぎると細胞がブドウ糖不足となって、細胞内でエネルギーを充分に作り出せなくなる病気です。それなのにブドウ糖の摂取を制限したら、ますますエネルギー不足になって、新陳代謝の低下から血管の再生が遅れて老化が進むといったことが起こるようになります。
糖尿病予備群の場合は、糖尿病ではないという認識をするなら、エネルギーの発生量が大きく低下するほどにはなっていないので糖質制限をしてもよいという考えも出てくるかもしれません。しかし、糖尿病予備群は糖尿病の可能性が否定できない者ということになると、糖尿病と同じように糖質制限は危険だという判断をしなければならなくなります。糖尿病患者の食事は入院患者でも糖質は全エネルギー量のうち50%ほどは摂る必要があります。食べすぎの人は制限をして減らすことはあっても、メディアで取り上げられるような糖質を摂らないという極端な糖質制限は糖尿病予備群、つまり血糖値が高めになっている人であってもやるべきではないというのが日本メディカルダイエット支援機構の考えです。