220 「糖尿病ほど簡単な病気はない」というのは本当か

糖尿病は今や国民病と呼ばれるほど患者数が多く、国民健康・栄養調査の結果では国民の5人に1人が糖尿病患者か予備群とされています。食べすぎや運動不足によって血糖値が急上昇して、なかなか下がらないということだけが原因なら糖尿病を解決するのは簡単であっても、血糖値を下げる働きをするインスリンの分泌の減少、インスリンを使ってブドウ糖を細胞に取り込む能力の低下となると下がりにくくなります。それだけに糖尿病は一生涯付き合う困難な病気という認識がされています。
しかし、「糖尿病ほど簡単な病気はない」という考えを私たちは、あえて示しています。というのは、多くの生活習慣病は原因が完全に究明されているわけではなく、原因がはっきりしないので改善のための方法も確立されていないという状態があります。血圧が上昇する原因は11種類もあって、どれが影響しているのかわからないと改善も難しくなっています。それに対して糖尿病は、原因も改善法も明らかにされています。これほど簡単な病気はないはずなのに、どうして治りにくいのかというと、せっかくの改善法が続けにくいからです。
食欲は、すべての本能の中で一番の欲求で、これまでの食生活を改善するのは難しいことです。特に糖尿病は糖質(ご飯、麺類、パンなど)を減らすだけでなく、全体のエネルギー量を適量に抑えるように指導されます。エネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質だけで、たんぱく質は身体を構成する重要な成分なので減らすわけにはいきません。だから、抑制しなければならないのは糖質と脂質ということになります。脂質といえば脂肪、中でも中性脂肪を思い浮かべるところですが、中性脂肪が多く含まれる料理を食べても、体内に蓄積されている中性脂肪(脂肪細胞の中の脂肪)が増えてもインスリンの分泌量が増えて、膵臓に負担がかかるようになります。負担がかかりっぱなしになると膵臓が疲弊して血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌量が急激になります。これが糖尿病発症の大きな理由となっているからです。
運動習慣については別に触れさせてもらいます。