229 運動前の糖質補給は持久力を低下させる

マラソン選手が給水所で飲んでいるのは、選手によって差はあるのですが、ブドウ糖が含まれている飲料が基本となっています。運動を始めたときには、すぐにエネルギー源として使われるブドウ糖が先に使われ、10〜15分ほどすると脂肪酸の燃焼がメインへと切り替わっていきます。マラソンをして体力が失われてきたときにブドウ糖を補給すると、エンジンに再点火させるようなことになって、ここで作り出されたエネルギーが筋肉細胞の中で脂肪燃焼を促進させるために使われるので、パワーをもって走れるようになります。
運動をしているときに飲むことがすすめられるスポーツ飲料の主成分もブドウ糖です。運動をしているときにはブドウ糖の補給は有効ですが、運動をしていないときにブドウ糖を摂りすぎると血糖値を上昇させすぎて、これは太る要因となります。血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されて細胞へのブドウ糖の取り込みが進むのですが、インスリンには肝臓での脂肪合成を促進して、中性脂肪を脂肪細胞の中に取り込ませる作用があるので、インスリン分泌量が多くなるほど太る可能性が高くなるわけです。
マラソン選手を見習って、走るときにはスポーツドリンクを飲んでいる人も多くいます。また、ウォーキングでも有効に使われています。しかし、体脂肪の減少を考えるときには、飲むタイミングが重要となります。そのタイミングは運動をしている途中で、少なくとも運動前にスポーツドリンクを飲まないようにすることです。運動を始めたときには、血液中のブドウ糖を使って筋肉を動かして、ブドウ糖が減ってくると脂肪酸の代謝に切り替わって、その後は脂肪酸を有効に使って身体を動かしていくことができます。できるだけ早く、脂肪酸の代謝に切り替えることが大切で、そのためには血液中のブドウ糖を多くさせすぎないようにすることです。
運動を始めてから10〜15分よりも先に血液中のブドウ糖が減った場合には、筋肉に蓄積されているグリコーゲンが分解されてブドウ糖となって血液中に放出されます。運動ができないほどに血糖値が下がりすぎることはないので、スポーツドリンクは運動の途中、運動後に飲むようにします。