235 入浴と食事の組み合わせによる自律神経の切り換えから始まったメディカルダイエット

メディカルダイエットの手法を初めて医療機関以外で実践したのは、スポーツ選手の体脂肪コントロールでした。あるアマチュア格闘技スポーツの国際チームの体脂肪コントロールの研究に呼ばれ、日本メディカルダイエット支援機構の理事長は運動生理学や栄養学の専門家と一緒に面倒なオファーに応じました。そのオファーというのは、同じ食事量、同じ運動量で、体脂肪の量もほぼ同じ選手であるのに、一方の選手は体脂肪を減らし、他方の選手は体脂肪を増やすというものでした。体脂肪を増やすといっても、ただ太らせればよいということではなくて、筋肉は落とさずに適度な量の体脂肪をつけていくというオファーです。
これを可能にする方法の基本はすでに存在していて、その一つは夕食前に筋肉運動をして、それから食事をすると体脂肪が増えにくいということは知られていました。そして、夕食後に再び筋肉運動をすると、さらに体脂肪が増えにくくなります。それを可能にしているのは自律神経の交感神経の働きが盛んになって、食事をしたときには胃液とインスリンの分泌量が減り、そのために肝臓での脂肪合成が減って体脂肪が増えるのを抑えられます。夕食後に筋肉運動をすると、交感神経によって体脂肪の蓄積が抑えられるようになります。
夕食前に筋肉運動をするのは可能ですが、夕食後は本来なら身体を休める時間であるのに、このときに筋肉運動をするのは楽なことではありません。交感神経の働きを盛んにするなら、何も筋肉運動でなくてもよくて、入浴の温度によって交感神経と副交感神経の働きを切り換えることができます。そのことを提案したときには、運動生理学の専門家からも栄養学の専門家からも批判的なことを言われたものですが、強く主張したこともあって試験的にやってもらえました。
その結果ですが、運動と同じような状態になることがわかり、無理のない方法として、夕食前に交感神経を刺激する熱めの温度で入浴する方法がとられるようになりました。これをきっかけとして始まったのが、入浴温度によって体脂肪を増やすことも減らすこともできるメディカルダイエット的な入浴と食事の組み合わせによるタイミングダイエットでした。