243 運動と入浴のタイミングで体脂肪を増やす

筋肉の中にあって脂肪を分解する酵素のリパーゼは、もともとは消化液(胃液、膵液)に含まれて、中性脂肪を分解して脂肪酸を遊離させる酵素となっています。このリパーゼのうち一部は筋肉まで運ばれ、筋肉の中で脂肪を分解する酵素として働いています。運動後の入浴によって脂肪の分解を低下させない方法は前回(242回)紹介しましたが、この逆のことをすれば脂肪の分解が進みにくくなって、体脂肪が減りすぎないようにすることができます。
運動をすると筋肉が温まり、筋肉の中にあるリパーゼが脂肪を分解して、脂肪酸の燃焼を進めます。運動後にも筋肉が温まっている間はリパーゼが活性化していて、脂肪の分解は続いているわけですが、運動後に入浴すると筋肉の温度が高くなりすぎて、リパーゼの活性が低下します。その結果として運動後の脂肪の減少を抑えることができるようになります。熱めの温度で入浴するだけでなく、ぬるめの温度(38〜40℃)でも、お湯の温度が筋肉に伝わって筋肉の温度が高まって、リパーゼの活性が止まるようになります。
運動を始めて、すぐにリパーゼが活性化して、脂肪の分解が盛んになるわけではありません。運動を始めてから10〜15分間はブドウ糖が主にエネルギー源として使われ、脂肪酸が主にエネルギー源になるのは、その後だと説明されています。このように時間差によって脂肪酸が燃焼するのは、運動によって筋肉が温まってきて、リパーゼが活性化されて、脂肪の分解が始めるまでに10〜15分はかかるからです。
運動を始めたばかりのときには筋肉が充分に温まっていないので、筋肉の温度を下げないように腕を出さないようにする上着、足を出さないようにする長ズボンで始めて、身体が温まってきて、熱くなってきたところで薄着にします。これがリパーゼの働きを早めて、筋肉が温まってきたところで温まりすぎを抑える方法です。