250 無酸素運動と有酸素運動のタイミングで体脂肪を減らす

運動は、息を止めてもできる無酸素運動と、呼吸によって酸素を多く取り込んで行う有酸素運動とに大きく分けられます。細胞の中にはミトコンドリアというエネルギー産生のための小器官があり、ここでブドウ糖と脂肪酸はアセチルCoAという補酵素となって、エネルギー産生が行われます。アセチルCoAが活用されるときに酸素が必要になり、酸素があることによってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られます。ブドウ糖1分子に対してATPが36分子も作られるのですが、無酸素状態のときにはブドウ糖1分子に対してATPは2分子でしかありません。そのために無酸素運動では長く身体を使い続けることがなくなります。
無酸素運動をすると細胞に急激に酸素を取り込もうとしますが、特に酸素が必要になるのは筋繊維(筋肉細胞)です。そのために無酸素運動をすると筋肉の中に酸素が多く取り込まれた状態になって、このあとに有酸素運動を行うと筋肉の中に多く取り込まれた酸素を有効に使って、エネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸)をエネルギーとしていくことができます。
無酸素運動に続いて有酸素運動をするとエネルギー代謝を高められるということで、サーキットトレーニングではマシントレーニングのあとでジョギング(足踏み)をしています。そして、再び無酸素運動、有酸素運動を繰り返します。これはエネルギー代謝を盛んにすることが第一の目的となっていますが、もう一つの目的は疲労物質の乳酸をためないようにすることです。乳酸はミトコンドリアの中でのエネルギー産生が不十分で、いわゆる不完全燃焼状態になったときに多く発生するもので、無酸素運動を30秒間ほど続けると発生量が増えていきます。
そのためにサーキットトレーニングでは無酸素運動は30秒間としていますが、乳酸は有酸素運動をすることによってエネルギーとしていくことができます。そこで無酸素運動は30秒間に決めることなく、身体に負担がかかったと感じたときに有酸素運動に切り替えることでよいというわけです。