253 飲酒と糖尿病の関係

アルコールは1g当たり約7kcalのエネルギー量があり、日本酒1合でも約140kcalにもなります。ご飯は茶碗1杯で約200kcalなので、飲酒をするときには、ご飯を減らすなどして調整しないと食べすぎになります。ちなみに、糖質とたんぱく質は1g当たり約4kcal、脂質は約9kcalのエネルギー量があります。飲酒量が多くなると、それだけ摂取エネルギー量が多くなり、さらに食欲が増して食べすぎることから糖尿病(2型)の引き金にもなります。
アルコールは肝臓からブドウ糖が放出されるのを抑制することから、飲酒後には血糖値が低下して、空腹を感じるようになります。そのために飲酒後にラーメンや甘いものを食べたくなり、かえって血糖値が上昇することになります。
飲酒が糖尿病の発症リスクを高めることを証明した大規模コホート研究の報告によると、1日に日本酒換算で1合以上の飲酒をしていた男性は発症リスクが1.3倍も高くなっていました。女性では関係性がわかるほどの変化はみられませんでした。この調査では男性の場合のBMI(体格指数)との関係を調べていますが、BMI22以下の男性では非飲酒者に比べて1合までの飲酒者は変化がなかったのに対して、2合まででは1.9倍、2合以上では2.9倍も発症リスクが高まっていました。
BMIが22より大きなグループでは変化がなかったのですが、これは太っている人は統計的に飲酒によって糖尿病のリスクが高まらなかったという結果で、飲酒によって糖尿病のリスクが減少するという意味ではありません。
糖尿病と診断されるまで血糖値が高くなると、原則として飲酒は禁止されます。飲酒が許可される場合もありますが、それは合併症がなく、週に1〜2回の飲酒で、1回について日本酒換算で1合までに抑えることができる人です。さらに飲酒の分だけ主食を減らすことができて、少なくとも飲酒しても食べすぎることがない人に限られています。