273 膝痛対策のウォーキング

膝の軟骨がすり減っているために痛みが生じている人は、できるだけ刺激を減らすように歩くのも控えるようにしようと考えがちです。もちろん、激しい痛みがあるときに膝の曲げ伸ばしをするのは無理であって、そのようなことを強いるつもりはありません。しかし、膝に違和感を感じたり、少し痛みがあるという場合には、膝痛の改善には歩いて膝を動かすことが大切になります。
というのは、膝の軟骨を再生させるために必要な成分は、膝を曲げ伸ばしして、膝の周りの血管から、その成分を送り届けるようにしなければならないからです。膝の軟骨のために必要な成分は、グルコサミンとコンドロイチンです。グルコサミンは軟骨の成分で、グルコサミンは軟骨の成分であるとともに潤滑成分としても働きます。
膝の軟骨には血管が通っていません。そこで、軟骨の成分は滑膜という膝関節を包んでいる袋状の膜の中に入り、滑膜の中の関節液に有効成分が溶け込んでから膝関節に届けられます。この作用を進めるためには、膝が動くことによるポンプ作用が必要で、滑膜が収縮するほど滑膜とつながった血管から成分が引き込まれていきます。
膝の曲げ伸ばしが必要であるといっても、深く曲げ伸ばしをすると、軟骨がすり減ることによって生じたトゲ状になった骨が神経を強く刺激するようにもなります。これを防ぐためには、あまり膝を深く曲げないで、普通の歩き方をして軽い曲げ伸ばしを続けるようにします。膝関節を適度に動かすことは、周囲の筋肉を強くして、膝関節への負担を減らす効果もあります。
歩いて予防する、治すというと歩きすぎてしまう人もいますが、膝の軟骨に成分を送り続けるために毎日、少しずつでもよいので継続して歩くようにします。