285 フコキサンチンで脂肪を燃焼させる脂肪細胞を増やす

褐藻の一つのアカモクには脂肪の燃焼を進める作用があるフコキサンチンが多く含まれていることから、新たなダイエット素材として注目されています。フコキサンチンがダイエットと結びつくのはUCP1という成分を体内で増やす作用があるからです。UCP1は脱共役タンパク質の一つで、エネルギー源の糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)をエネルギー代謝させるときに使われるタンパク質です。UCP1が多く存在しているのは褐色脂肪細胞という脂肪を燃焼させる働きがある特殊な脂肪細胞です。一般に脂肪細胞と呼ばれるのは白色脂肪細胞で、その名のとおり白い色をしています。これは細胞の中に中性脂肪を蓄積しているからです。これに対して褐色脂肪細胞にはUCP1が多く存在していて、UCP1の働きによって脂肪を燃焼させます。
食後に背中が温まることがあるのは、肩甲骨の周りと、肩甲骨と肩甲骨の間に褐色脂肪細胞が多く存在しているからで、特に運動をしなくてもエネルギー源が燃焼してエネルギーに変わっている証拠とされます。体内で発生したエネルギーのうち70%ほどは体熱になっています。通常は細胞のミトコンドリアの中で代謝が起こり、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られることによってエネルギーが発生していますが、UCP1はATPを使わなくてもエネルギーを発生させて体温を上昇させることができます。
フコキサンチンによってUCP1が増やせるわけですが、褐色脂肪細胞の中で増えているのではなくて、白色脂肪細胞の中で増えていることが研究で明らかにされています。体内でUCP1が増えると白脂肪細胞は徐々に色づいていってベージュになっていきます。そのことからベージュ細胞とも呼ばれているのですが、フコキサンチンの摂取だけでなく、寒冷刺激や運動によっても発生します。寒冷刺激というのは寒い季節に寒い環境の中にいることで、これによって体熱を多く発生させないといけないことからUCP1が増えていきます。また、運動をすると筋肉を早く温めないといけないことからUCP1が増えていくと考えられています。